向井理 悼む人

ロミママ

2012年11月22日 20:59

   きのう、電車で松本へ見に行った 「悼む人」。 

  あなたを、心にしまう。      
  「誰を愛し、誰に愛され、感謝されたのか。」
  生きた証を刻むために。


  それは、5人の出演者による素晴らしい舞台でした。

  最初に登場したのは、雑誌記者の蒔野抗太郎。 (手塚とおる)
  張りのある声、表情、動き、その殆どが一人芝居です。
  ずっと舞台をやってきた役者さんだということが、すぐ分かりました。

  彼が追いかけるのは、
  亡くなった場所で死者を悼む旅人、坂築静人。 (向井理)
  病に侵されながら、静人を理解し、帰りを待つ母。 (伊藤蘭)
  キャンディーズのランちゃんが、
  こんなに豊かな表現力を持つ女優さんになったのですね。

  母を心配し、兄を思い、新しい命を授かる妹。 (真野恵里菜)
  「おにいちゃん」 と呼びかけるシーンは、
  まるで帰らない寅さんを待つさくらの 「おにいちゃん」 とかぶりました。

  そして、愛し方を間違え、夫を殺した女、奈儀倖世。 (小西真奈美)
  静人としばし旅をするのですが、
  あれだけの長ぜりふを覚え、夫の声色までやってのける、
  ものすごい女優さんです!!  
  
  さあ、これだけの強烈な個性をぶつけられ、
  向井クンはどういう芝居を見せてくれるのだろう?

  背の高い彼は、穏やかなしゃべり方とゆったりした動きで、
  ほとんど感情を出さない静人を演じていました。 
 
  笑顔にもなりませんが、
  見えてくるんですよ、向井クンでなく 「静人」 に!

  純粋で誠実な役を演じることの多い向井クン。
  イメージからしても決してチャラ男ではないし、
  頑固で融通が利かなくて、まじめなとこありますよね。

  舞台には特別な大道具はありません。
  映像スクリーンやセットの切り替えで 「見せる」 んです。
  他の4人が 「動」 なら、 向井クンは 「静」 です。
  そのバランスが、舞台全体をつなぎとめていました。

  役者さん5人の個性が光り、刺激し合い、
  見終わったすぐ後に、もう一度見たい!  と思ったほどです。

  帰りの電車は少し遅れましたが、飛び乗ることができました。

   「向井くーん! きゃあ~!」 と叫ぶこともできず、
   おとなしくしてたけど、
   「1階5列29番」 は、とってもおいしい席だったんですよ。

                 
  
  

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