2009年06月24日

もう一つのチャロ物語⑤

  一度はチャロを、
  捨てられていた電話ボックスから
  出してあげてアパートに運び、
  なんとか飼える方法はないかと考えた。

  なのに、結局私はまたチャロを、
  スーパーの駐車場に置き去りにしてしまった。


  翌朝は日曜日、通りの方から見たけれど、キミの姿はなかった。
  でも10時半頃通った時、買い物客の足の間を、飛び跳ねているチャロがいた。
 
  それはまるで、「ボクを一緒に連れてってよ。」と必死にアピールしているようだった。
  私との時間の中で、人に懐けばかわいがってもらえるかもしれない、と学んだのだろう。

  その後も私はずっとチャロのことが気がかりだった。
  スーパーの店長さんに、何度聞いてみようと思ったかしれない。
  でも、怖かった。もしも最悪の結果だったら、それは私の無責任が原因だ。

        health      inu      health      inu      health

   それから1ヶ月ほど経ったある日、少し離れた通りでicon17信号待ちをしていたら
   舗道の白い柵につながれている犬がいた。

   はっと思って見たら、かなり大きくなっていたけれど、あの目は間違いない!
   face05どきどきした。私はあわてて窓を開け、「チャロ!」と呼んでみた。

   その犬は耳をピクっとさせ、鼻先を上にして、懐かしい臭いを探し始めた。
   「チャロ!」・・・今度は少し大きな声で。
   ちょうど私の方を向こうとした時、女の人がお店から出て来た。
   「ごめん、ごめん、ジョン。随分待たせちゃったね。」   

   その犬はシッポをぶんぶん振っている。私は、ただぼんやり見ていた。
   良かったね、チャロ。・・・いや、ジョンだね。
   あの時のキミの重さ、かわいらしさ、icon11忘れないからね。
   でも、キミは私のこと忘れていいよ。ずーっと幸せになるんだよ。

   信号が変わった。サイドミラーをちらっと見て、私はゆっくりとアクセルを踏んだ。
  


Posted by ロミママ at 22:05Comments(2)動物だいすき